高齢期に入り、足腰が弱り、内臓機能や消化吸収が衰えてきます。下痢をしやすい脂質の多い食事は避けましょう。眠る時間も長くなりますので、睡眠時間は十分に確保してあげてください。体調の変化を見逃さないように、食べる量のチェック、グルーミングをしっかりして、もし異変が見つかったら早急に受診してください。このあたりの年齢から、寿命が延びるかどうかは早期発見がポイントになります。
高齢期も、やはり気をつけたいのは肥満です。フレンチブルドッグは高齢になってくると、基礎代謝が下がり、消化機能も衰えてきますので、より肥満になりやすくなります。食事もそれまでの成犬用から8~9歳になったらシニアフードに切り替える目安になります。フードの形状もなるべく小粒のものを選んだり、状況によっては子犬の頃やっていたようにフードをお湯でふやかして柔らくしてあげましょう。ただ、ここでも個体差があり、高齢でも歯や顎も丈夫で成犬時の若さを保っているようでしたら、フードもカリカリのままのほうが丈夫な歯を長く保てますので、そのあたりは年齢だけではなく、愛犬の状態で判断しましょう。
高齢期の散歩について
体が元気でしたら、それまでと同じように散歩にいき、もし歩きが鈍くなってくるようなら、ペースをゆっくりに変えたり、距離を短くしたりと、愛犬の状態に合わせた散歩をするようにしましょう。散歩での老化のサインとして、散歩中に止まって歩かなくなることがあります。若い頃は抱き上げてわがままな子に育つのを避けていたとしても、高齢による体の負担を感じたなら抱いてあげて良いでしょう。また、ペットカートを使って景色を見せてあげるだけでも気分転換になり、歩けないことへのストレス発散にもなります。
10歳を迎えるということ
10歳は、フレンチブルドッグにとって1つの区切りの年齢です。最近は医療の進歩で10歳を越えることも普通のように言われています。しかし、それでも、フレンチブルドッグは病死や突然死がありえる犬種です。フレンチブルドッグ仲間がいらっしゃる方でしたら、10歳未満で亡くされた経験がある方のお話を聞いたことがあると思います。
ですから、愛犬が無事に10歳を迎えてくれたら、まだまだこれから!というお気持ちもわかりますが、まずは1つの区切りの年齢として、10歳まで頑張って生きてくれてありがとうと、たくさん褒めてあげてください。フレンチブルドッグの平均寿命と言われる10歳を迎えられたことは本当に素晴らしいことなのです。
高齢期の治療や介護について
高齢期には様々なことがあります。愛犬が重大な病気になったとき、飼い主さんは治療の選択をすることになります。そのときに大切なのは、飼い主さんにとって無理のない範囲で治療をしてあげるということです。
実際にどの治療を選んでも「別の治療方法を選択すればよかったかもしれない」と必ず後悔するものです。ですから、もし治療の選択をする時がきたら、獣医さんに「その治療でどのように改善されるのか?」「その治療にはどんな副作用があるのか?」など納得がいく説明を聞くようにしましょう。その上で、あとから振り返ったときに「自分の出来る範囲でやれることはやった」と思えるようにすることが後悔を少しでも少なくする方法になります。
それから、愛するばかりに自身の限界を超えてまで看護してしまう方が多いというのも覚えていたほうが良いでしょう。看護を完璧にやろうとするお気持ちはわかりますが、その結果、看護で疲労困憊になり、愛犬との楽しかった思い出より苦しかった思い出が残ってしまうのです。医療の進歩で犬の寿命が延びてきているとはいえ、治療の限界もあります。看護の大変さで飼い主さんを追いつめることを、愛犬は決して望んでいないはずです。