子犬探しで間違いやすい7つのポイント
フレンチブルドッグの子犬だけを18年間で1000頭以上販売している経験から、子犬探しで間違いやすい7つのポイントを解説します。よくあるマニュアル的な内容ではなく、私が実際にフレンチブルドッグの子犬探しをされているお客様と向かい合ってきた経験で、間違いが多かった7つのポイントです。これからフレンチブルドッグの子犬を迎えたいと考えている方に参考にしていただければと思います。
目次
1. フレンチブルドッグのヨーロッパタイプとアメリカタイプの違いとは?
「アメリカタイプ=小さい、ヨーロッパタイプ=大きい」という勘違い。
フレンチブルドッグには大きく分けて「ヨーロッパタイプ」と「アメリカタイプ」の2種類があります。もともとフレンチブルドッグはヨーロッパでブリーディングされ、その姿に魅了されたアメリカ人が、アメリカに連れて帰りブリーディングを始めたことで、ヨーロッパタイプとアメリカタイプが存在することになりました。単純な違いでは純血のヨーロッパタイプにクリームカラーはいません。純血のアメリカタイプ、もしくはアメリカタイプとヨーロッパタイプのハーフやクオーターなど、アメリカタイプの血が混じらないとクリームは生まれません。
その他のブリンドル、フォーン、パイドは、ヨーロッパタイプもアメリカタイプもいます。それ以外にも、フォーンパイドやレッドフォーン、タイガーブリンドルなど一般的に呼ばれるカラーもありますが、血統書では、ブリンドル、フォーン、パイド、クリームのどれかに分類されるのが基本です。そして、アメリカタイプが小さい、ヨーロッパタイプが大きい、と勘違いされる方が非常に多いです。実際はアメリカタイプで大ぶりな子もたくさんいますし、ヨーロッパタイプで小ぶりな子もたくさんいます。
また「小ぶりな子が良い」と言っても、繁殖屋さん(子犬を高額に売ることを第一に考えた乱繁殖をするブリーダー)から生まれた子犬は、頭が小さく、骨量もなく、身体の線も細いので体重にしたら軽く「小ぶり」です。将来も細長いフレンチブルドッグになりますが、
あなたは、それを求めてはいませんよね?
フレンチブルドッグ専門の優良ブリーダーから生まれた、頭は大きく、骨量があり、身体も四肢もしっかりしている上で「小ぶり」な子、とは全然話が違うんです。
この差を知らずに「小ぶり」の意味を勘違いして子犬を探す方、購入してしまう方が最近は非常に増えています。それから意外と知られていないのは、アメリカタイプとヨーロッパタイプの成長過程の違いです。アメリカタイプは1歳くらいでほぼ成犬の形に完成していきます。ですから1歳くらいですでにコロコロしている印象が強いと思います。対してヨーロッパタイプは3歳過ぎくらいまで時間をかけて成犬の形に完成していきます。個体によっては4歳、5歳でも犬質を上げてくる子もいます。
ですから、アメリカタイプとヨーロッパタイプで、同じ1歳の子を見たときの印象はアメリカタイプのほうがコロコロしていることが多いと思いますが、2~3歳くらいになれば、個体差はあれ、アメリカタイプとヨーロッパタイプのどちらも同じ雰囲気に仕上がってくると思います。またアメリカタイプは成犬までの完成が早い分、シニアになってからの体の崩れがヨーロッパタイプに比べて早いのが特徴です。もちろん管理を上手にしていればシニアになっても崩れず保てますが、やはりシニアになっても姿形が綺麗なのは圧倒的にヨーロッパタイプだと思います。
2. ペットショップに並ぶフレンチブルドッグが高額な理由とは?
「高額=良質な子」と勘違いするだろうと計算された展示。
現在のフレンチブルドッグ人気でペットショップには70万円、80万円、ときには100万円以上の子犬が販売されています。もちろん価値観の問題なので70万円、80万円でも100万円以上でも、その子が可愛いくてほしいならそれでいいと思います。ただ「可愛いから高額でもほしい」なら良いですが
「70万円、80万もするのだから良質な子犬だ」
と勘違いするのは大きな間違いなので気をつけましょう。
70万円、80万以上の高額を付けておけば「高額=良質な子」と勘違いするだろうと計算されて展示してある場合があるからです。というか最近のペットショップには非常に多い傾向だと思います。正直、見た目から不健康そうで体の線も細いのにクリームだから高額にしているだろう、と、あきらかにわかるような子犬も平気で販売されています。
また、中には見た目だけ上手にブクブクに太らせて、高額を付けている場合もあります。そんな子は実際に触ってみればわかりますが体質がブニョブニョに柔らかいです。良質な子との違いを簡単に言うと体質に張りがあるコロコロ感と、体質がゆるゆるなブニョブニョ感です。クリームはもともと体質のゆるい子が多いので、ある程度は理解出来ますが、ブニョブニョに柔らかい子はその一時期だけ太らされただけのものか、成犬になってもブニョブニョの体質です。
フレンチブルドッグのカラーや犬質に対しての適正価格はそれぞれの考え方なので難しいですが、私がお付き合いしている、ドッグショーに力を入れているフレンチブルドッグ専門のショーブリーダーさん同士の間で取引される子犬でも、70万円、80万出したら、国内産なら特別な子犬を購入できます。もちろんそれも価値観の問題ですが、あなたがフレンチブルドッグらしいフレンチブルドッグがほしいなら、
子犬を購入する上で1番大事なのは「犬質」です。
10年以上365日をいっしょに暮らす子犬を迎えるのに1番大事なのは「犬質」です。
3. インスタで見つけたブリーダーから子犬を購入するのは、あり?なし?
インスタ上手な繁殖屋さんには運命を感じやすい。
あり?なし?の判断は難しいところです。というのも実際に良質なレンチブルドッグのブリーディングをされるブリーダーさんでインスタに産まれた子犬をアップされている方もいます。しかし、インスタで子犬の写真を紹介するのが上手いだけの繁殖屋さんもたくさんいます。というか後者のほうが圧倒的に多いと思います。繁殖屋さんのインスタ上手ってやつですね。気を付けていただきたいのは、
インスタで見つけると「自分で探し出した感」
から運命の出会いと感じやすいところだと思います。
また、インスタから直接ですとお値段も格安購入できると思う方が多いようですが、インスタ上手な繁殖屋さんはそれだけ問い合わせもありますから、格安どころかむしろ犬質に対して高額な場合が多いと思います。少し冷静に考えていただければわかると思いますが、インスタであろうが、他のどのルートだろうが、ブリーダーが自分で犬質が良いと判断した子を格安で販売することはありません。
フレンチブルドッグで犬質の良い子を作るのにどれだけの費用と手間暇がかかるか考えたらあたりまえのことです。もし仮に格安なら、それはそれだけの理由があることでしょう。フレンチブルドッグは高額ですから少しでもお安くと考えるお気持ちも重々わかります。しかし、フレンチブルドッグは、迎えてからも他の犬種より病院代など費用のかかる可能性が高い犬種です。ご予算によっては他の犬種を考えるのもありなのかもしれません。迎えた子は10年以上の付き合いになるのですから無理のないように考えてみてください。
4. フレンチブルドッグのブルーやブラック&タンなどはレアカラー?
レアカラーの子犬をファッション感覚で買うリスク。
最近はインスタなどで、フレンチブルドッグのブルーやブラック&タンなどの変わったカラーを見かけます。日本でも扱っているペットショップもあるようですが、フレンチブルドッグのスタンダード(犬種基準)なものではありません。海外などのインスタで見てしまうと珍しくてほしくなるお気持ちもわからなくもないですが、そういった方に高額で売るためにブリーディングされた乱繁殖犬です。
もちろん、それでいい、という方もいるのだと思いますが、その珍しいカラーを作るためには健全でない掛け合わせをしているわけです。健全を求めたブリーディングではなく、
高額で売れるレアカラーを求めたブリーディングです。
その結果、何かしらの疾患が出てくる可能性は高くて当たり前です。フレンチブルドッグはスタンダードを考えた健全なブリーディングからでも、体が強くない子が生まれる確率が十分ある犬種です。わざわざ高額を出して、リスクの高い乱繁殖犬をファッション感覚で買うのなら、スタンダードでフレンチブルドッグらしいフレンチブルドッグを迎えたほうが断然良いかと思います。
5. ずんぐりむっくりしたフレンチブルドッグの子犬を探すには?
ブリーダーのセンスとスタンダードの綺麗さを知る。
繁殖屋さんをのぞいて、フレンチブルドッグ専門の優良ブリーダーさんのお話です。どんなフレンチブルドッグを「良質なフレンチブルドッグ」と判断するかはすべてブリーダーさんのセンスです。もちろんJKC(ジャパンケネルクラブ)が定めるフレンチブルドッグのスタンダード(犬種基準)はあります。優良なブリーダーは基本的にそのスタンダードを目指してブリーディングするのですが、そこに自分のセンスをプラスします。例えば、迫力あるワイルド系の顔にフレンチブルドッグらしさを感じるブリーダーもいれば、大きな頭に可愛い顔こそフレンチブルドッグらしさを感じるブリーダーもいます。
ボディーも同じことで、昔ながらのブルドッグ寄りの「ずんぐりむっくり」にフレンチブルドッグらしさを感じるブリーダーもいれば、「構成バランスの綺麗さ」にこそフレンチブルドッグらしさを感じるブリーダーもいます。仮に、あなた自身で見つけたフレンチブルドッグの子犬を見学に行って「この子は良い子だよー」と勧められる子犬は、そのブリーダーのセンスの上での良い子犬なわけです。
あなたが将来どんなフレンチブルドッグになる子がほしいのか。まず、あなたが求めるタイプのブリーディングをしているブリーダーを選ぶことが大切です。「ずんぐりむっくりしたフレンチブルドッグ」になる子犬を探す方が非常に多いですが、現在のフレンチブルドッグのスタンダードは「構成バランスの綺麗さ」が重要です。
スタンダードなんて関係なく探しているから。
というお気持ちわかります。ただスタンダードは年々更新されているのですが、その理由は、より「フレンチブルドッグとして健全であるか」が基準で更新されるわけです。すでにご存知な方も多いと思いますが、フレンチブルドッグは個体差はあれ、基本的に体の強い犬種ではありません。関節系や呼吸器、皮膚も強い犬種ではありません。
ずんぐりむっくりしたボディーでは不健全な部分が出やすいから、改善された上で、現在のフレンチブルドッグのスタンダードがあることを頭に置いておくべきだと思います。色んなペットショップに子犬を探しまわるくらいなら、1度で良いのでドッグショーを見に行ってみてください。全国各地で開催されていますので、あなたのお住いの最寄りでも見られるはずです。
スタンダードなフレンチブルドッグの「綺麗さ」は素人の方が見ても違いがわかると思います。「ずんぐりむっくりしたフレンチブルドッグ」を全否定しているのではありません。「ずんぐりむっくりしたフレンチブルドッグ」を求めるなら、スタンダードの許容範囲で、頭部が大きく、骨量豊かで四肢が太く、重心の低めタイプの子を探せば良いのです。
6. フレンチブルドッグは探せば探すほど購入できなくなる?
ネットの知識よりも信頼できるお店選びが大切。
「はじめて迎えた子犬はペットショップで一目惚れして購入したけど、想像していたフレンチブルドッグの成犬の形にはならなかった。だから良いフレンチブルドッグとは何か?を色々勉強して情報を集めたけど、色んな情報がありすぎて迷子になってしまい、結局決断が出来なくなってしまった」2頭目の子犬購入を考える方や、1頭目の子が亡くなり、また新しい子犬を迎えようとする方たちに共通しやすいパターンです。
正しいもの、そうでないもの、ネットの情報が溢れすぎていて何を信じていいかわからなくなるお気持ちわかります。フレンチブルドッグの知識が増えてくると、2頭目はブリーダーから直接迎えたいと考えるようになり、ブリーダーや犬舎などネットの情報を調べまくるうちに、だんだん血統などの知識が増えていき、
自分で犬の良し悪しが判断できる気になってしまう
ような方は要注意です。
そんな方が自分で探したブリーダーの犬舎に直接見学に行って、ネットの知識を振りかざしてブリーダーとトラブルになったり、仮に購入に至っても購入後にトラブルになるケースなどが年々増えています。私は自分が運営しているのもありますが、ブリーダーから直接迎えたいと思うなら、良質な子犬を作るフレンチブルドッグ専門ブリーダーを複数扱うお店を仲介して、あなたの好みに合った子犬を作るブリーダーを相談しながら選ぶほうが、
お引き渡し後のアフターケアも含めてより健全
だと思います。
あなたが直接見つけたブリーダーで子犬を購入しても、仲介を通してブリーダーから直接購入しても子犬の値段は同じです。仲介側が手数料をいただくのはブリーダーからです。逆に、ちょっと知識をつけた方が自分で探したブリーダーから、お世辞にも犬質が良いとは言えない子犬をかなりの高額で購入したというお話は本当によくあることです。そんな方は、ブリーダーにとっては1番高額をつけやすお客さんになるわけですから。
「高額=良質な子」と思うのは人間の心理ですし、自分で探し出した子が高額だと言われたら、スペシャルな子を見つけた気になってしまう気持ちもわかるのですが、実際は金額がスペシャルなだけです。犬質の良い子はじっくり探せばたくさんいます。しかし犬質の良くない子はもっとたくさんいます。そしてスペシャルな子は滅多にいないのです。
7. フレンチブルドッグは男の子と女の子のどちらがオススメ?
「男の子=やんちゃ、女の子=おとなしい」という勘違い。
まず男の子と女の子の外見の違いは、個体差があるので平均的お話になりますが、男の子は女の子より頭が大きくなり、胸も深く、腰にかけてくびれが出来るので、体のラインにメリハリが出ます。対して女の子は男の子よりひとまわり頭が小さく、体のラインはどちらかというとメリハリが少ないストレートボディーです。皆さんがいわゆるフレンチブルドッグらしさや雰囲気を想像されるのは男の子の形だと思います。
体重は男の子で10~13キロ、女の子で9キロ~11キロくらいが平均かと思います。見た目は小さいですが筋肉質なので抱きかかえると重い印象だと思います。
フレンチブルドッグらしさの見た目にこだわる場合
は男の子を選ぶべきだと思います。また、最近はマンション飼いの方も多く、マンション内の共有スペースは犬を地面に下ろせないというルールの所も多いようで、女性が抱えることを1番に考えて女の子にされる方も増えています。
それから性格でよく勘違いされる「男の子だから気が強くてやんちゃ、女の子だからおとなしくて扱いやすい」ということはありません。性格は個体差ですし、新しく迎え入れられた環境で飼い主がどのように愛情を注ぐかで変わってくるものです。また、去勢手術や避妊手術の必要性はとても難しい問題です。獣医さんが勧めるから、周りがみんなやっているから、病気のリスクが減るからなど、人それぞれ判断や決断する理由も違うとは思いますが、獣医さんや手術を経験された方のお話をしっかり聞いてメリット、デメリットをちゃんと理解したうえで、きちんと悩んで決めていただけたらと思います。
これに関してはブリーダーさんに相談しても、去勢、避妊はしなくていいとおっしゃる方がほとんどかと思います。ブリーダーさんは繁殖するわけですから当たり前に聞こえるかもしれませんが、繁殖しなくても、
そもそもの自然の生体は崩すべきでない
と考えられている方が多いです。フレンチブルドッグは人間性を感じさせるキャラクターから、ペットというより我が子同様に愛されている方が多いのですから、去勢、避妊に関しても我が子同様にちゃんと考えて判断されてください。
去勢、避妊はしないほうがいいと言っているわけではありません。獣医さんも商売ですから当たり前のように勧めるものと理解した上で、あなた自身のためではなく、我が子のためをちゃんと考えて判断するようにしてください。